Windows Vista ソフトウェアコンテスト
新しいWindowsの時代を作るWindows Vista
TEXT:笠原一輝
 マイクロソフトがコードネーム“Longhorn”で開発してきた次世代WindowsであるWindows Vistaが来年の1月についにデビューする。今回のWindows Vistaの最大の特徴は、これまでのWindowsで利用されてきたWin32に加えて、WinFXの開発コードネームで呼ばれてきた.NET Framework 3.0という新しいプログラミングモデルを採用していることだ。.NET Framework 3.0は、既存の.NET Frameworkの延長線上にあるプログラミングモデルで、Webサービスと連携したアプリケーションなどをこれまでよりも手軽に作ることができるという特徴を備えている。

 また、Windows Vistaはいくつもの新機能を備えている。新しく実装される3D UI(ユーザーインターフェース)である“Aero Glass”はユーザーの大きな注目を集めているし、新しいアクセサリツールとなるガジェット(Gadget)の機能、さらには新しくなったWindows Media Centerの機能なども要注目だ。
Windows Vista β2のデスクトップ
Windows Vista β2のデスクトップ
.NET Framework 3.0が作るWindows新時代
 Windows Vistaでは、OSの基本構造そのものに、.NET Framework 3.0の仕組みが組み込まれている。これまでのWindows XPでは、.NET Frameworkを利用する場合にはWindows Updateを通じてあらかじめランタイムを導入する必要があったのだが、Windows Vistaではその必要がない(つまりあらかじめランタイムが含まれているということだ)。

Windows Vistaの.NET Framework 3.0の仕組み
Windows Vistaの.NET Framework 3.0の仕組み
 Windows Vistaでは、OSの構造として図1のような構成をとっている。つまり、OSの基本部分の上にランタイムが乗っており、それらのランタイムを経由して、プログラムコードが実行される仕組みになっている。

 こうしたOS側に中間コードとなるランタイムを組み込んで、アプリケーションを実行させるやり方は、.NET Frameworkが最初ではない。すでにITの世界ではJavaが当たり前のように使われており、Windowsの世界でもJavaを利用したアプリケーションは増えつつある。では、そうしたこれまでの中間コードベースの言語との大きな違いは何かと言えば、新しい技術への対応ということになるだろう。

 Windows Vistaの.NET Framework 3.0は、Windows Vistaで新しくサポートされる新技術に対応している。それがWPF(Windows Presentation Foundation)、WCF(Windows Communication Foundation)、WF(Windows Workflow Foundation)、WCS(Windows CardSpace)の4つの新技術だ。
 特に、WPFは大きな注目を集めている。WPFは、これまで開発コードネームAvalonで呼ばれてきた技術で、従来のWindowsがGPUの描画エンジンのうち2Dエンジンしか利用していなかったのに対して、WPFでは画面の描画に3Dエンジンを利用することが可能になっている。このため、2D/3Dの描画を透過的に行えるほか、動画の再生も3Dエンジンなどを利用して行え、1つのアプリケーションで3Dと動画の再生を同時に行ったりという新しい使い方が可能になる。

THE NORTH FACEが制作したWPFを利用したアプリケーション
THE NORTH FACEが制作したWPFを利用したアプリケーション。こうしたWebサービス、3Dなどが融合したアプリケーションを手軽に作れるのが.NET Framework 3.0の特徴
 また、.NET Framework 3.0はWebサービスを統合した新しい形のアプリケーションにも向いている。基本的なOSのサービス利用はすべてランタイム側が行ってくれるので、アプリケーションの側はシンプルなコードを書くだけで簡単にWebサービスを統合したアプリケーションを構築することができる。.NET Framework 3.0を利用することで、3D描画を利用し、かつWebサービスと融合したようなアプリケーションも容易に構築することができるのだ。実際、昨年の9月に米国で行われたPDC(Professional Developer Conference)では、米国の服飾メーカーの“THE NORTH FACE”が制作した、3DとWebサービスを融合した新しい.NET Framework 3.0に対応したアプリケーションが公開され、大きな注目を集めた。
DirectX 9相当の機能を統合し、アプリケーションからも3D描画機能を手軽に利用
Windows VistaのAero Glassを利用した新しい3Dデスクトップ
Windows VistaのAero Glassを利用した新しい3Dデスクトップ。タスクスイッチなどが3D表示になる
 Windows Vistaには、.NET Framework 3.0以外にもいくつもの新機能が満載だ。ユーザーの目につくという意味では、WPFの機能を利用した新しい3D UIの“Aero Glass”があげられるだろう。

 これまでのWindowsでも、Direct3Dの仕組みを利用して一部アプリケーションだけが3D描画機能を利用してきた。具体的に言えば3Dゲームなどになるのだが、逆に言えばゲーム以外のアプリケーションからはほとんど3D描画の仕組みは利用されてこなかったのだ。これは、Direct3DがDirectXという追加のモジュールになっていたことも大きく影響している。その利用には、特殊なプログラミングモデルが必要になっていたし、また当初は多くのGPUの3D描画性能はあまり高くないということも影響していた。

タスクバーにポインターを合わせるとアプリケーションのサムネイルが表示される
タスクバーにポインターを合わせるとアプリケーションのサムネイルが表示される
 しかし、近年3Dの描画性能は上がり続ける一方で、特にGPUは高度化し、GPUのほとんどを3Dエンジンが占めるという状況になっていた。つまり、せっかくある演算器がほとんど利用されていないという状況になっていたのだ。また、GPU自体の性能の底上げもあり、すでに統合型チップセットに関しても多くがDirectX 9という最新のDirect3Dの仕様に対応してきた。

 そこで、Windows VistaではDirectX 9のDirect3Dの機能が標準で搭載されており、WPFを経由してすべてのアプリケーションから利用することができる(むろん、従来のようにDirectX 9を経由しても3D描画を利用できる)。WPFを経由することで、ソフトウェア開発者はより手軽に3D描画の機能を利用することができることが大きなメリットと言える。

新しいスタートメニューの構成。ボタンが丸くなったり、構成が変更になるなど新しいデザインになっている
新しいスタートメニューの構成。ボタンが丸くなったり、構成が変更になるなど新しいデザインになっている
 そうしたDirect3Dの機能がOSに標準搭載された、最大の利用例がAero Glassなのだ。Aero Glassを有効にするには、コンシューマ向けに用意されるUltimate、Home Premium、Home Basicという3つのバリエーションのうち、Home Premium以上が必要になる。Aero Glassを有効にすると、ウインドウの表示が透過表示になったり、Windowsキー+Tabキーで3D表示されたタスクスイッチなどの機能が利用できるようになる。

 また、そうした新しい3D UIにあわせて、WindowsのUI自体も、Windows XPの“Luna”から”Windows Aero”と呼ばれる新しいものへと変更されている。ウインドウの透過表示、スムーズなウインドウ描画、新しい丸形のスタートボタン、新しい構造のスタートメニューなどいくつかの新しい機能が採用されている。
新しいWindowsサイドバーの機能でアクセサリをWindowsへ手軽に追加
Windows Vistaで用意されるWindowsサイドバー
Windows Vistaで用意されるWindowsサイドバー。ガジェットと呼ばれる新しいアプリケーションを追加することができる
 もう1つの注目の機能はWindowsサイドバー(Sidebar)と呼ばれる新しいアクセサリランチャの追加だ。Windowsサイドバーは標準で画面の右側に表示される、ソフトウェアのランチャで、“ガジェット(Gadgets)”と呼ばれる小型アプリケーションを追加できる。最近ではノートPCや液晶ディスプレイなどで、ワイドタイプのものが増えてきており、デスクトップの左右に余裕がある状態で利用しているユーザーも少なくないが、サイドバーはそうしたユーザーのニーズにも応えることができる。

Internet Explorer 7
Windows VistaにはInternet Explorerの最新バージョンであるInternet Explorer 7が標準で搭載される
 このサイドバーには標準で電卓や時計といったこれまでスタートメニューのアクセサリに登録されていたようなアプリケーションが標準で登録されている。また、ユーザーが好みに応じてアプリケーションを追加することも可能で、マイクロソフトのサイトなどからガジェットをダウンロードして追加することができる。今後、オンラインソフトウェアの作者などがこうしたガジェットを作成され、手軽なアクセサリソフトのプラットフォームとして利用されることになるだろう。

Windows Media Player 11の画面
Windows Media Player 11の画面。CDジャケットをドラッグ&ドロップで貼り付けられるなど新しい機能が用意されている
 Windows Vistaでは、Internet Explorerの最新バージョンとなるInternet Explorer 7が標準で搭載されている。Internet Explorer 7は、すでにβ(ベータ)版がWindows Vista向けに配布されているが、基本的にはそれと同じものになる大きな機能変更としてはタブを利用したブラウジングが標準でサポートされたこと、メニューバーがなくなった、RSS機能の標準搭載などがあげられる。

Windows Vistaに搭載される新しいメディアセンター
Windows Vistaに搭載される新しいメディアセンター。動画を再生しながらメニューを表示できるようになるなど、見た目が大きく変更されている。
 マルチメディア関連の機能も大きく強化されている。Windows Media Playerは、すでにWindows XPでもベータテストが行われているWindows Media Player 11へと変更されている。Windows Media Player 11では、オンライン販売の機能やジャケットの貼り付けなどの機能が強化されており、また、Media Centerも、新しいバージョンへと切り替えられている。Windows VistaのMedia Centerは、開発コードネーム“Diamond”で呼ばれてきたバージョンで、従来は縦方向だけだったメニュー構成が縦横に拡張されたり、動画の上にメニューを透過表示できるようになったりと機能が強化されている。
Windows Vistaを利用するにはメモリ容量とビデオカードの選択に注意しよう
 Windows Vistaは、6月中旬から一時期β2が一般に公開された。公開されていたのはビルド番号 5384のベータ版で、その後もMSDNなどのβテスターにはよりビルド番号の進んだβが公開されている。原稿執筆時点での最新ビルドはビルド5536で、9月にはRC1と呼ばれる最初の出荷候補版となるさらに進んだものがβテスターなどに公開される見通しだ。

 すでにβ2を入手したユーザーも少なくないと思われるが、これからPCを用意してWindows Vista β2をインストールしようという場合、マシンの選択には注意したい。すでに述べたように、Windows VistaではWPFやAero Glassなど、Direct3Dを利用したアプリケーションや機能を利用することが可能になっている。このため、それらを実行されるためには、それらを利用するためのそれなりのハードウェアが必要になるのだ。

 では、どの程度のマシンを入手すればよいのかと言えば、具体的なガイドラインは用意されていない。マイクロソフトのWebサイトでは、目安となるスペックが公開されているが、このほかにも注意すべき点はある。

 具体的にはGPUのスペックだ。マイクロソフトでは、OEMメーカーに対してWindowsに対応したPCに対してシールを貼りWindowsに対応したPCであることを示すマーケティングプログラム(WLP:Windows Logo Program)を提供しているのだが、そのWLPはVista世代では、PremiumとBasicの2つに分類される。PremiumはHome Premium以上のVistaに対して与えられるロゴシールで、Aero Glassなどもきちんと動作するPCということになる。つまり、Premiumロゴが与えられるようなスペックのPCであれば、Aero Glassなども使えると言うことになる。

 ちなみにそうした要件はマイクロソフトの開発者向けWebサイトで公開されており、ここに掲載されている要件を満たせば、Windows Vistaを快適に利用できるPCと考えてよいだろう。

 なお、その要件は多岐にわたっているのだが、その中でも注意したいのは、メモリの容量とビデオカードだ。GPUは最低でもDirectX 9に対応したハードウェアを持っていることが条件だが、さらにビデオメモリの容量が次の要件を満たしている必要がある。
表1 ビデオメモリの容量
  デスクトップPC デスクトップPC ノートPC
シングルモニター デュアルモニター シングル/デュアル
SXGA(1280x1024ドットまで) 64MB 128MB 64MB
SXGA(1280x1024ドット)
〜WUXGA+(1920x1080ドット)
128MB 256MB 128MB
WUXGA+以上 256MB 256MB以上
要するにどの解像度にも対応しようと思えば、ビデオメモリは256MB以上にしておきたいということだ。

 また、ビデオメモリの帯域幅にも要件がある。3D描画時にはGPUとビデオメモリの間に大量のデータが行き来するので、ビデオメモリは十分な性能が確保されていないと性能がでないからだ。ビデオメモリの帯域幅は1600MB/秒が確保されている必要があるとされており、これは単体型のGPUであれば問題ないのだが、統合型のGPUの場合、メインメモリをビデオメモリとして利用するため帯域幅が問題になる。メインメモリがDDR2で、デュアルチャネル構成であれば問題ないが、そうではない場合には問題が発生する場合があるので、できるなら統合型のGPUではなく、単体型のGPUを用意したいところだ。

 また、メモリ容量は最低でも512MBが要件となっている。ただし、統合型GPUの場合には、ビデオメモリがメインメモリの一部を利用するため、その分は差し引いて考える必要がある。このため、統合型GPUを利用する場合には1GBなどのメモリを大容量にしておくとよいだろう。

 以上のようなことをふまえて(Home Premium以上が)利用できる必要最小限のスペックを示すと次のような構成になる。
CPU: x86ないしはx64のCPUで、1GHz以上のCPU
メモリ: 1GB
GPU: DirectX9対応GPU(ビデオメモリは64MB以上)
HDD: 40GB(最低でも15GBの空き容量)
光学ドライブ: DVD-ROM
オーディオ: オーディオ出力
ただ、これは明らかに最低構成で、筆者としては次のようなスペックをおすすめしたい
CPU: x64が利用できるCPUで、2GHz以上
メモリ: 1GB以上(デュアルチャネルが望ましい)
GPU: DirectX9対応GPU(ビデオメモリ256MB以上)
HDD: 250GB
光学ドライブ: DVD±RWドライブ(2層書き込み対応)
オーディオ: HD Audioサポート
こうした構成のPCであれば、Windows Vistaの機能をフルに利用することができるだろう。

 ぜひ、こうした高性能のPCを利用してWindows Vistaの魅力を体感し、魅力的なアプリケーションを提供していただきたい。
関連するWebサイトなど
Microsoft Windows Vista ホーム
http://www.microsoft.com/japan/windowsvista/
Windows Vista Capable and Premium Ready PCs(英語)
http://www.microsoft.com/windowsvista/getready/capable.mspx
"Designed for Windows" Logo Program V. 3.0(英語)
http://www.microsoft.com/whdc/winlogo/WLP30.mspx
  PAGE TOP NEXT
新しいWindowsの時代を作るWindows Vista
Windows Vista RC1と最新ガジェット
Windowsサイドバーガジェットについて
サンプルコード・配布用サイドバーガジェット
Windowsサイドショーガジェットについて
サンプルコード・配布用サイドショーガジェット
Windows Liveガジェットについて
サンプルコード・配布用Liveガジェット
WPFローカルアプリケーションについて
サンプルコード・配布用WPFローカルアプリケーション
WPF Webコンテンツについて
サンプルコード・配布用Webコンテンツ
素材集 1/10
素材集 2/10
素材集 3/10
素材集 4/10
素材集 5/10
素材集 6/10
素材集 7/10
素材集 8/10
素材集 9/10
素材集 10/10
トップページへ
Windows Vista ソフトウェアコンテスト キャッチアップ ブログ
Impress Copyright (C) 2007 Impress Japan Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.